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インプラントの失敗とは?


人工歯根により安定性が高く、ほかの歯を傷つけないインプラント。


メリットが多いインプラントですが、“完璧な治療”は存在しません。不適切な治療やケア不足などが原因で失敗が起きることもあります。


今回は「インプラント治療で起こり得る失敗」についてご説明いたします。


■インプラントの失敗例


インプラントの失敗は歯科医師・患者様のどちらかに責任があるもの、または、双方に責任があるものに分けられます。


◎歯科医師側に責任があるもの

1.治療計画の立案ミスや手術時のミス、細菌感染対策の不足など
2.術後の噛み合わせが乱れる
3.術後のメンテナンスの質が低い


1.治療計画の立案ミスや手術時のミス、細菌感染対策の不足など


インプラント手術中、または、手術後、以下のような原因によりインプラントが抜け落ちてしまうことがあります。


・歯周病の患者様(特に中程度~重度の歯周病)に対し、手術前の歯周病治療をしっかり行っていない
・治療計画の立案ミスによる、不適切な位置へのフィクスチャーの埋め入れ
・診察ミスにより、インプラント不適応の患者様(※)に手術を行ってしまった
・顎の骨量が不足している患者様に骨造成をせずにインプラント手術を行ってしまった
・粗悪品や廉価なコピー品のインプラントパーツを用いたことによりパーツが破損する、インプラントが定着しない
・手術時のドリリングにおける冷却不足により、インプラントが定着しない
・細菌感染対策に必要な器具および機器の不足、または、不適切な感染対策により患部が細菌に感染してしまった


(※)Ⅰ型糖尿病、白血病、ビスホスホネート製剤を
服用している方などの絶対的禁忌の患者様。

2.術後の噛み合わせが乱れる

 

フィクスチャーを適切な高さに埋め入れなかったり、上部構造の精度が低いとインプラントの人工歯と周りの歯の高さが合わず、術後に噛み合わせが乱れることがあります。

 

インプラントによって噛み合わせが乱れると一部または全体の歯に大きな負担がかかってしまい、過度の負担が原因で歯が割れたり歯槽骨が溶けてしまうことがあります。これを「外傷性咬合による咬合性外傷」と呼びます。

 

インプラントの不良補綴物が原因の外傷性咬合により、歯槽骨がダメージを受けて非プラーク性の歯周病を発症したり歯周病の症状が悪化することもあります。

 

3.術後のメンテナンスの質が低い

 

インプラント手術後、以下のような質が低いメンテナンスを行った場合、インプラント周囲炎や歯周病を発症してしまいインプラントが破損・脱落することがあります。

 

・患者様の歯や顎の状態をしっかりチェックしていない
・インプラントの破損や交換に迅速に対応していない
・PTCやPMTCなど、歯科医院で行う歯のクリーニングの質が低く歯垢や歯石を取り残している

 

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上記が、歯科医師側のミスによって起こり得るインプラントの失敗例です。

 

インプラントの失敗は歯科医師だけではなく、以下のように患者様側に責任があるものもあります。

 

◎患者様側に責任があるもの

 

1.手術直後、定められた量の抗生物質を飲み切らなかった
2.術後、患部で硬い物を噛むなど、フィクスチャーに刺激を与えてしまった
3.治療後、しっかりセルフケアを行わなかった
4.治療後、歯科医院の定期メンテナンスをさぼってしまった、メンテナンスを受けなかった

 

1.手術直後、定められた量の抗生物質を飲み切らなかった

 

手術直後には炎症や化膿を防ぐための抗生物質を処方します。処方された抗生物質を飲み切らなかった場合、患部が炎症や化膿を起こして骨結合が阻害され、フィクスチャーが抜け落ちてしまうことがあります。

 

2.術後、患部で硬い物を噛むなど、フィクスチャーに刺激を与えてしまった

 

手術後、フィクスチャーが顎の骨と結合して患部が安定するまでは、フィクスチャーを埋め入れた歯で食べ物を噛むのはNGです。

 

フィクスチャーが安定する前に患部で硬い物を噛むなどして刺激を与えてしまうと骨結合が阻害され、フィクスチャーが抜け落ちてしまうことがあります。

 

3.治療後、しっかりセルフケアを行わなかった

 

インプラントの治療後、歯磨きや歯間清掃などのセルフケアをしっかり行わなかった場合、歯周病に似たインプラント周囲炎という病気を発症し、歯槽骨が溶けてインプラントが抜け落ちることがあります。

 

4.治療後、歯科医院の定期メンテナンスをさぼってしまった、メンテナンスを受けなかった

 

インプラントを長持ちさせ、インプラント周囲炎などのお口の病気を防ぐには毎日のセルフケアに加えて歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることが大切です。

 

歯科医院の定期メンテナンスではお口やインプラントの状態を歯科医師がチェックし、併せて、歯のクリーニングも行います。

 

歯科医院の定期メンテナンスをさぼって通院に間が空いたり、定期メンテナンスを受けなかった場合、ケア不足によってインプラント周囲炎を発症しインプラントが抜け落ちてしまうことがあります。

 

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上記が、患者様側のミスによって起こり得るインプラントの失敗例です。

 

上記のほか、歯科医師と患者様、双方のミスによりインプラントの脱落などの失敗が起きるケースもあります。双方がミスをおかしてしまったケースではインプラントの失敗が発生する確率が高まります。

 

■治療前にリスクの説明があり、話を聞いてくれるクリニックを選ぶことが大切

 

どのような事柄にも言えますが、「100%安全な治療」はありません。

 

歯ぐきの切開やフィクスチャーの埋め入れなど、インプラントは外科的な手術をともなう治療法です。外科手術による細菌感染のリスク、および、手術時や手術後にトラブルが起きるリスクは少なからず存在します。

 

リスクがあるからこそ、治療前のカウンセリングではリスクについて説明があり、患者様のお悩みをしっかり聞いてくれるクリニックを選ぶことが大切です。

 

治療前にリスクを説明してくれるクリニックであれば、インプラント治療で起こり得る失敗を知ることができ、そのクリニックが失敗を防ぐための対策を行っているかどうかを見極めやすくなります。また、インプラントの失敗原因を知ることで、術後のケア不足など、患者様側のミスが起きる可能性も減らせます。

 

歯科医師が患者様の話を聞くことも重要です。患者様の現在のお悩みを歯科医師がじっくりとお伺いすることで、それぞれの患者様に合った治療計画の立案につながります。

 

【歯のお悩みやインプラント治療に関するご質問がある方はお気軽にご相談ください】

 

インプラントは難しい歯科治療です。手術を成功に導き、治療後に安定してインプラントを使い続けるためには細菌感染対策の徹底をはじめ、適切な治療計画の立案、迅速で正確な手術を行うことに加え、治療後の定期メンテナンスをしっかり継続することが大切です。

 

当院では、以下の点に留意し、インプラント治療の安全性・正確性を高めています。

 

①患者様に応じ、必要があるときにはむし歯・歯周病治療、および、骨造成を行う
②CTをはじめとした精密機器による検査、および、綿密で適切な治療計画の立案
③高性能洗浄機や高圧蒸気滅菌器、ディスポーザブルアイテムによる細菌感染対策の徹底
④インプラントガイドを用いた手術による、正確な位置へのフィクスチャーの埋め入れ
⑤術後の定期メンテナンスでお口やインプラントの状態をチェックし、インプラント周囲炎やむし歯・歯周病の早期発見・早期治療につなげる

 

「歯を失って困っている」
「インプラントの治療内容について知りたい」

 

など、歯のお悩みやインプラント治療に関するご質問がある方は当院までお気軽にご相談ください。相談費は無料です。カウンセリングではインプラント治療の経験が豊富な歯科医師がそれぞれの患者様に合った治療方法をご提案させていただきます。

高山歯科室
歯科医師
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