「失くした歯の治療方法、どうしようかなあ…」
「安いし、安定性がありそうな保険のブリッジでイイかな?」
「インプラントはもっと年を取ったときに考えるよ」
歯を失くしてしまったとき、「安いから」という理由で保険のブリッジや保険の部分入れ歯を選ぶ方が少なくありません。
ブリッジや入れ歯で失った歯を補うことは可能です。しかし、ブリッジや入れ歯が原因で「歯を失い続けてしまう」ケースもあるため、歯を補う際は慎重に治療方法を選ぶことが大切です。
今回は歯を補う3種類の治療「インプラント・ブリッジ・入れ歯」の違いについてご説明します。
目次
■ブリッジや入れ歯が原因で歯を失い続ける理由とは?
◎ブリッジや入れ歯は残っている歯を傷つけてしまうことがあります
ブリッジは連結した被せ物をつける際、残っている両隣の歯を削ります。歯を削ると体積が減った分噛んだときの衝撃に弱くなり、歯の寿命が縮まってしまいます。
また、ブリッジはご自身で行う歯磨きでは被せ物と歯ぐきの境目の歯垢を落とし切れません。被せ物の境目に歯垢が溜まり、むし歯や歯周病にかかりやすくなります。
補った部分(橋を渡した人工歯部分)の歯に歯根がなく、両隣の歯に負担がかかりやすいブリッジの構造も残っている歯を痛める原因になります。
部分入れ歯もクラスプという金具を歯にかけて使用するため、金具が原因で残っている歯が傷つきやすいです。
入れ歯の金具をかけた部分の歯が削れ、むし歯にかかりやすくなります。また、部分入れ歯で食べ物を噛む度に金具をかけている歯が引き倒されて歯根や歯槽骨にダメージがおよび、歯がグラグラになってしまうケースも。グラグラになった歯を残すのは難しく、抜歯になることが多いです。
このような理由から、ブリッジや入れ歯が原因で歯を傷つけてしまい、残っている歯を失い続けるケースは少なくありません。
次の項では歯を補う3種類の補綴治療について、特徴やメリット・デメリットを挙げながらそれぞれの違いをご紹介します。
■インプラント
◎歯槽骨に人工歯根を作り、人工歯を連結します
インプラントは歯を支える顎の骨である歯槽骨にフィクスチャーを埋め入れ、人工歯根を作る治療法です。フィクスチャーには連結パーツであるアバットメントを連結し、アバットメントを土台にして歯の部分となる人工歯(上部構造)を取り付けます。
埋め入れたフィクスチャーはオッセオインテグレーションという生体現象により歯槽骨と強固に結合するため、非常に安定性が高いです。治療後は硬い物もしっかり噛めるようになります。高い安定性に加え、インプラントは失った歯の箇所にのみ治療を行うため、ブリッジや入れ歯のように残っている歯を傷つけません。
◎インプラントのメリット、デメリット
<メリット>
・人工歯根を作るため非常に安定性が高く、硬い物もしっかり噛める(天然の歯の80~90%程度、噛む力を回復可能(※1))
・残っている歯を傷つけない
・固定式のため入れ歯のような違和感がほとんどなく、ご自身の天然の歯に近い感覚で人工歯を使用できる
・固定式のため、発音しやすい
・人工歯根により噛んだときの衝撃が骨に伝わるため、ブリッジや入れ歯と比べて歯槽骨の吸収が起きにくい
・入れ歯のように取り外す必要がなく、基本的な毎日のお手入れはいつもどおりの歯みがきと歯間清掃でOK(※2)
・寿命が長い(平均耐用年数は10~15年程度)(メンテナンスを継続することで平均以上の期間、インプラントを持たせることも十分可能)
・セラミック製の人工歯のため、保険のブリッジや保険の入れ歯と比べて天然の歯に近い自然な白さの歯を再現できる
(※1)目安の数値です。患者様や歯の状態によっては
上記以下の回復率になる場合があります。
(※2)インプラントを保ち続けるためにはセルフケアに加え、
歯科医院で定期的にメンテナンスを受ける必要があります。
<デメリット>
・原則として保険が利かないため治療費が自己負担(自由診療)となり、費用が大きい
・外科的な手術をする必要がある
・外科手術にともない、細菌感染のリスクがある
・治療期間が長い(上顎が平均で6ヶ月程度、下顎が平均で3ヶ月程度(※))
・治療後、ケアを怠るとインプラント周囲炎を発症するリスクがある
(※)平均の治療期間です。患者様や症状によって治療期間が
異なります。上記以上の期間がかかることもあります。
■ブリッジ
◎橋をかけるように連結した人工歯を被せます
ブリッジとは、失った箇所の両隣の歯を支えにして橋をかけるように連結した人工歯の被せ物をつける治療法です。
◎ブリッジのメリット、デメリット
<メリット>
・保険適用でき、比較的安価に歯を補える
・部分入れ歯と比べて安定性が高い(天然の歯の60~80%程度、噛む力を回復可能(※))
・インプラントのような外科手術をせずに失った歯を補える
・比較的短期間(簡単な形状の物は1ヶ月程度、複雑な形状の物は2ヶ月程度)で失った歯を補える
(※)目安の数値です。患者様や歯の状態によっては
上記以下の回復率になる場合があります。
<デメリット>
・被せ物をつける際に歯を削るため、残っている歯を傷つけてしまう
・被せ物と歯ぐきの境目の歯垢や汚れを落としにくく、むし歯・歯周病にかかるリスクが高まってしまう
・補った人工歯の部分には歯根がないため、噛む度に被せ物をした両隣の歯に負担がかかって歯を痛めてしまうことがある
・補った人工歯の部分には歯根がないため噛む衝撃が伝わらず、歯槽骨の吸収が起きやすい(骨吸収によって歯槽骨の高さが不揃いになり、噛み合わせが乱れる原因になる)
・寿命が短く、平均7~8年程度で作り換えが必要になる
・保険のブリッジはプラスチック樹脂製のため、天然の歯と比べて歯が浮いたような不自然な見た目になりやすい
■入れ歯(部分入れ歯、総入れ歯)
◎金具、または、歯ぐきや顎の粘膜で義歯を支えます
入れ歯は、部分的に歯を補う部分入れ歯と片顎すべての歯を補う総入れ歯があります。
部分入れ歯は残っている歯にクラスプという金具をかけて使用します。総入れ歯は歯ぐきや顎の粘膜で義歯を支え、使用します。
◎入れ歯のメリット、デメリット
<メリット>
・保険適用でき、比較的安価に歯を補える
・インプラントのように外科手術を受けたり、ブリッジのように歯を削る必要がない
・比較的短期間(1ヶ月~1ヶ月半程度)で失った歯を補える
<デメリット>
・インプラントやブリッジと比べ、安定性が低い(天然の歯の30~50%程度、噛む力を回復可能(※))
・部分入れ歯の場合、金具をかけた部分の歯を傷つけやすい
・部分入れ歯の場合、食べ物を噛む度に金具によって歯が引き倒され、残っている歯にダメージを与えてしまうことがある
・総入れ歯の場合、歯ぐきや顎の粘膜のみで支えるため入れ歯がずれたり外れることがある
・取り外し式のため安定性が低く、違和感を感じることがある
・入れ歯と歯ぐきのあいだに食べカスが挟まることがある
・総入れ歯の場合、入れ歯が動いたり入れ歯の床(しょう:ピンク色の部分)が舌の動きを邪魔してしまい発音しにくくなることがある
・補った義歯の部分には歯根がないため、噛む衝撃が伝わらず歯槽骨の吸収が起きやすい(骨吸収によって歯槽骨の高さが不揃いになり、噛み合わせが乱れる原因になる)
・入れ歯を取り外して毎日清掃する必要がある
・寿命が短く、平均4~5年で作り換えが必要になる
・保険の入れ歯はプラスチック樹脂製のため、天然の歯と比べて歯が浮いたような不自然な見た目になりやすい
(※)目安の数値です。患者様や歯の状態によっては
上記以下の回復率になる場合があります。
【失った歯の治療方法でお悩みの方は当院までお気軽にご相談ください】
歯を失ったときには、「とりあえずの間に合わせ」的な考えで補綴治療を選ぶのは良くありません。失った歯を補うだけではなく残っている歯の健康もしっかりと考慮し、ご自身に合った治療を選ぶことが大切です。
「失った歯の治療方法で悩んでいる」
「歯周病でもインプラント治療を受けられるのか知りたい」
など、補綴治療やインプラントに関するご質問・ご不安がある場合は当院までお気軽にご相談ください。相談費用は無料です。
カウンセリングでは歯科医師が患者様のお悩みをお伺いし、歯や顎の状態を確認した上で1人ひとりの方に適した治療をご提案させていただきます。