インプラントを長持ちさせ、お口の健康を守るためにはインプラント治療後のセルフケアが欠かせません。セルフケアに加え、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることでインプラント寿命の延伸を期待できます。
今回は「インプラント治療後のメンテナンスの重要性」についてお話しします。
目次
■インプラント治療後に起こり得るトラブルとは?
細菌感染対策や口腔内ケアが不足した場合、インプラント治療後に以下のようなトラブルが起きることがあります。
①手術直後に患部が腫れる、化膿する
衛生管理が不十分な場合、インプントの手術中に細菌に感染して手術直後に患部が腫れたり化膿することがあります。
外科的手術を行うインプラント治療では院内に衛生機器を完備し、細菌感染対策を徹底することが重要です。
②ケア不足によりインプラント周囲炎を発症する
インプラント治療後、毎日の歯みがきや歯科医院で受ける定期メンテナンスを怠ってしまうと「インプラント周囲炎」を発症することがあります。
インプラント周囲炎は歯周病の一種です。お口の中にひそむ歯周病菌がインプラントと歯ぐきの境目にある歯周ポケットの中に入り、毒素を出すことでインプラント周囲炎を発症します。
インプラント周囲炎を防ぐにはセルフケアとプロケアを継続し、口腔内の状態をできるだけ清潔に保つことが大切です。
■インプラント周囲炎の怖さ
◎インプラント周囲炎は自覚症状がほとんどありません
インプラント周囲炎の怖いところは、痛みや違和感などの自覚症状がほとんどない点です。症状に気づかずインプラント周囲炎を放置した結果、病気が重度に進行して歯槽骨が大きく溶け、インプラント(フィクスチャー)が自然に抜け落ちてしまうケースもあります。
インプラント周囲炎になると以下のような症状が現れますが、多くのケースで痛みや違和感を感じないため、病気を見逃しやすいです。
<インプラント周囲炎の症状>
初期
・炎症により歯ぐきが赤く腫れる
・歯みがきのときに歯ぐきから出血する
中期
・歯ぐきが下がる
・歯ぐきから膿が出る
・口臭がする
・歯槽骨が溶けてフィクスチャーがゆれ始める
重度
・歯ぐきが大きく下がる
(インプラントのアバットメントやフィクスチャーが露出することも)
・歯ぐきから膿が出る
・卵や玉ねぎが腐ったような強い口臭がする
・歯槽骨が大きく溶けてフィクスチャーがグラグラになる
(フィクスチャーが自然に抜け落ちることもある)
■インプラント周囲炎を防ぐには?
◎歯みがきと歯間清掃によるセルフケアを毎日しっかり行うことが大切です
インプラント周囲炎を防ぐには、治療後、毎日の歯みがきと歯間清掃を行うことが大切です。しっかりセルフケアを行うことで、口腔内の清潔を保ちやすくなります。
◎セルフケアに加え、歯科医院で受ける定期メンテメンスが必須となります
インプラント周囲炎を防ぐには毎日のセルフケアに加え、歯科医院で受ける定期メンテナンスが必須です。
歯科医院のメンテナンスでは、歯科医師による検診、および、歯科衛生士によるお口のクリーニングを行います。
定期的に検診を受けることでインプラントやお口の異常をいち早く察知でき、インプラント周囲炎やむし歯・歯周病の早期発見・早期治療につながります。
メンテナンス時には検診と併せ、歯科衛生士によるお口のクリーニングを行います。プロフェッショナルによるお口のクリーニングを行うことでふだんの歯みがきでは落とし切れない歯垢・歯石を除去でき、インプラント周囲炎やむし歯・歯周病の進行を防ぎやすくなります。
■定期メンテナンスの内容
当院では、以下のような流れでインプラントの定期メンテナンスを行います。
①歯科医師によるインプラント・お口の状態のチェック
歯科医師がインプラント・お口の状態をチェックします。チェック時にはレントゲンによる検査を行い、インプラントの周辺を含む歯槽骨の状態を確認します。
不具合や破損など、インプラントに異常が見つかったときは処置・修理を行います。むし歯・歯周病が見つかった場合は患者様のご同意を得た上で治療を進めていきます。
②歯科衛生士によるお口のクリーニング
メンテナンス時には検診と併せ、歯科衛生士によるお口のクリーニングを行います。
お口のクリーニングでは専用の機械を用いてPMTCを行い、インプラントを含む全体の歯を清掃してバイオフィルム(歯垢(プラーク)の膜)を除去します。ハンドスケーラー、超音波スケーラーによる歯石取りも行います。
【セルフケア+プロケアでインプラントをより長持ち】
インプラント周囲炎やむし歯・歯周病を防ぐためには毎日のセルフケアを怠らないことが大切です。セルフケアと併せ、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることで早期処置・早期治療につながり、お口の健康維持、および、インプラントの寿命を延ばす効果を期待できます。
インプラントをより長持ちさせるため、治療後のセルフケア+プロケアをしっかりと継続しましょう。