名古屋市の栄にある、高山歯科室です。
みなさんは静脈内鎮静法と言う言葉を聞いたことはなりますか?
あまり聞きなれない言葉ですが、インプラント手術や歯周再生手術の経験がある方は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
今回は、歯科医院での恐怖や痛みを和らげることができる静脈内鎮静法についてご紹介します。
▪️静脈内鎮静法とは?
静脈内鎮静法は点滴で精神安定剤を投与することによってリラックスした状態で治療を受けることのできる局所麻酔です。
勘違いされやすいのですが、全身麻酔のように完全に意識がなくなる訳ではなく、治療中の呼びかけなどには応じることができます。
具体例を出すと、うたた寝やウトウトしているような、リラックスした状態と言えるかもしれません。
歯科医院でこの静脈内鎮静法を行うのは親知らずの抜歯やインプラント手術、歯周再生手術のような侵襲の大きい処置を行うケースで用いられることが多いのですが、歯科医院に恐怖心や不安のある方は、状況に応じて一般的な歯科治療でも使用できます。
また、静脈内鎮静法には治療中のことをあまり覚えてないという健忘作用もあるため、治療時間が一瞬だったと感じる方もいます。
※静脈内鎮静法を行う際は、治療中は常に麻酔科専門医が血圧や心拍数と言った全身の状態を確認しながら行います。
▪️静脈内鎮静は安全?
麻酔は怖いと思われている方も少なからずいるとは思いますが、静脈内鎮静法は安全性が非常に高いと言えます。
お伝えした通り、全身麻酔ではないので、人工呼吸器や気管内挿管といった呼吸管理は必要とせず、血圧や心拍数と言った全身の状態を麻酔専門医が常に管理しているため、安心して行うことができます。
▪️静脈内鎮静法にデメリットはある?
ここまで聞くと静脈内鎮静法のメリットは多くありますが、デメリットにはどのようなものがあるかも知っておきましょう。
①麻酔から回復までに時間がかかる。
特に入院が必要などということはありませんが、回復までに時間がかかることは事実です。静脈内鎮静法を行った後は、自転車や車などの運転は控えていただく必要があります。
②追加で費用がかかる。
静脈内鎮静法を行う際は治療費以外に追加で費用が発生します。専門の麻酔科医の立ち会いが必要になったり、全身を管理する機材などの準備も必要になるため、費用負担が大きくなるのもデメリットの一つです。
③少なからずリスクは存在する。
静脈内鎮静法は安全とお伝えしましたが、術中の管理を怠ると過度に血圧が低下したり、呼吸の抑制が生じる場合があります。
そのため、術中は専門の麻酔医が立ち会った状態で行われています。
▪️静脈内鎮静法で痛みはなくなる?
勘違いされやすいかもしれませんが静脈内鎮静法で痛みがなくなる訳ではなりません。静脈内鎮静法は、緊張感や不安を和らげ、安全に治療を行うことを目的として使用されます。
うたた寝のようなリラックスした状態になるため、多少痛みが緩和される場合もありますが、基本的には痛みを取り除く方法ではありません。
痛みを伴う治療の際に静脈内鎮静法を使用する場合は、鎮静剤投与後に局部麻酔を行い痛みを感じないようにします。
▪️笑気麻酔と静脈内鎮静法の違いは?
笑気麻酔も静脈内鎮静法も治療中の患者さんをリラックスした状態にする方法ですが、どのような違いがあるか見て行きましょう。
・笑気麻酔
笑気麻酔は酸素と笑気の混合ガスを吸入し、軽度な鎮静効果を与えます。
治療時に鼻に吸入器を装着して呼吸をすることで数分で効果が現れます。
治療終了後は鎮静状態から回復するのが早いため、すぐに帰宅する事が可能です。
・静脈内鎮静法
静脈内鎮静法は腕の静脈に点滴を行い、鎮静効果を与える方法です。
鎮静効果はすぐに現れ、健忘効果で治療中の記憶が曖昧だったり、治療時間短く感じると言った効果もあります。
鎮静状態は笑気麻酔よりも深いため、治療後は回復するまでに時間がかかることがあり、回復するまでお休みいただいた後に帰宅することになります。
▪️まとめ
いかがだったでしょうか?
静脈内鎮静法にデメリットはあるものの、治療を安全に行う上ではとても良い方法だと言えるのではないでしょうか?
しかし、静脈内鎮静法に対応している歯科医院は少ないため、かかりつけの歯科医院で相談しても提供できないなんてこともあります。
最近では、手術の際に静脈内鎮静法を選択する方も増えていますが、対応している医院がなかなか見つからず、諦めたなんて方もいるのではないでしょうか?
当院では、朝日大学の麻酔科専門医と連携して静脈内鎮静法を提供しています。歯科恐怖症や外科的処置がどうしても苦手と言う方はお気軽にご相談下さい。