以前、ブログにて30代・40代の方のインプラント治療についてご紹介をさせていただきました。
今回は、30~40代と比べてより、インプラント治療が身近になる「50代・60代の方のインプラント治療」についてお話しします。
目次
■50代・60代の方はインプラント治療が身近になる理由
50代以上になると次のような理由により、インプラント治療が身近になるケースが多いです。
理由その①歯周病で歯を失う
50代以上の方は歯周病で歯を失う確率が高くなります。
若い頃からかかっていた歯周病(歯肉炎)をメインテナンスせず・治療を受けずに放置し、50代以上になって歯周病が悪化するケースが少なくありません。
歯周病が悪化すると歯ぐきが大きく下がったり歯を支えている顎の骨が溶けてしまい、歯を失う確率が高くなります。
理由その②歯根破折が起きやすい
50代以上の方は、歯の根っこ(歯根)が割れたり折れる歯根破折(しこんはせつ)が起きやすいです。
若い頃にむし歯治療で神経を抜いた歯があると、歯根破折が起きやすくなります。神経を抜いてもろくなった歯が5年、10年~数十年かけて弱まっていき、50代以上になって歯根破折で歯を失うケースが少なくありません。
理由その③ブリッジ・入れ歯が原因で残っている歯を失うことがある
50代以上の方は、失った歯を補う補綴治療が原因となり、さらに残っている歯を失ってしまうことが多いです。特に、ブリッジ・入れ歯で歯を補っている場合、歯にかかるダメージによって残っている歯を失うケースが頻繁に見られます。
ブリッジは両隣(または片方)の歯を削り、被せ物をして歯を補うため、残っている歯が傷つくことがあります。
部分入れ歯は隣の歯にクラスプという金具をかけるため、金具をかけた部分の歯のエナメル質が削られやすいです(削られた部分に細菌が棲み着き、むし歯や歯周病が進行しやすくなる)。また、食べ物を噛む度に金具によって残っている歯がひき倒されてしまい、歯がグラグラになることがあります。
上記の理由から、ブリッジ・入れ歯を支えている歯が傷つき、抜歯せざるを得なくなるケースが少なくありません。
理由その④噛み合わせの乱れが原因で歯や歯ぐき、顎の骨が傷つき、歯を失う
・歯周病
・歯根破折
・ブリッジ・入れ歯を使い続けている
・むし歯で痛むため、残っている歯だけで噛む
・歯周病で歯を失い、残っている歯だけで噛む
上記の要因により、噛み合わせが乱れることがあります。
上記のような噛み合わせへの悪影響がある状態が数年、数十年と続いてしまい、50代以上の方は噛み合わせが大きく乱れているケースが少なくありません。
噛み合わせが乱れると歯にアンバランス、かつ、過剰な負荷がかかってしまい、歯や歯ぐき、顎の骨がダメージを受けやすいです。アンバランス、かつ、過剰な負荷を受け続けることで歯や歯根が割れたり、歯ぐきの退縮・顎の骨の吸収(骨が溶ける)が起き、歯を失ってしまう場合があります。
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上記のような理由から50代以上の方は歯を失うことが多く、失った歯を補うインプラント治療がより身近になってきます。
次の項では、50代・60代の方がインプラント治療を受けるときに注意すべきポイントについてご紹介します。
■50代・60代の方がインプラント治療を受けるときに注意すべき3つのポイント
歯周病、むし歯(歯の神経を抜き、根管治療を行った歯がある)、歯根破折、噛み合わせの乱れなど、50代以上の方には歯・歯周組織のさまざまな不安要素が存在する可能性があります。
50代以上の方がインプラント治療を受けるときは上記の不安要素に留意し、顎の骨を増やす骨造成やオールオン4にも対応可能な歯科医院を選ぶことが重要です。
ポイント①骨造成や難症例に対応できる歯科医院を選ぶ
50代以上の方は歯周病で歯を失っていたり、顎の骨が溶けて歯がガタガタになっているケースが見られます。
顎の骨が溶けており骨量が少ない場合、そのままではインプラント治療を受けられません。インプラント治療を受けるためには、骨造成をして顎の骨量を十分に増やす必要があります。
50代以上の方がインプラント治療を受けるときは、骨造成や歯周組織の移植手術などの難症例にも対応できる歯科医院がおすすめです。
治療院選びの際は歯科医院のHPを見て、骨造成や難症例に対する治療を行っているかををチェックしておくとよいでしょう。
ポイント②オールオン4に対応できる歯科医院を選ぶ
50代以上の方は歯周病により多くの歯を失っているケースが少なくありません。多くの歯を失っている場合、失っている箇所すべてに1本ずつインプラント治療を行うのはとても大変です。歯を失った多くの箇所に対して1本ずつインプラントの埋め入れ手術を行うと身体への負担や細菌の感染リスクが増え、患者さんの精神的ストレスが大きくなります。複数本のインプラント手術により、治療費もかさみます。
多くの歯を失ってしまった場合は、片顎すべての歯を連結した人工歯ブリッジで補うインプラント治療の「オールオン4(フルアーチインプラント)」がおすすめです。
オールオン4では、上下どちらか片方の顎につき4~6本のインプラントで連結した人工歯ブリッジをネジ固定します。
4~6本と少ない本数のインプラントで済むため、オールオン4にすることで肉体的・精神的負担を減らせます。
オールオン4の手術は片方の顎につき原則1回です(手術をした当日に仮歯を入れます)。1本ずつ複数回のインプラント手術を行う場合と比べ、1回の手術で済むオールオン4にすることで細菌感染のリスクを軽減できます(※1)。
治療費についても、1本ずつインプラント手術を行う場合と比べて、オールオン4はより少ない費用で歯を補えます(※2)。
(
あります。顎の骨が少ない場合はインプラント手術とは別に
顎の骨を増やす骨造成手術が必要です。
(※2)1本ずつインプラント手術を行う場合と比べたときの費用感です。
自由診療のため、オールオン4の治療費は大きくなります。
ポイント③総合歯科医院で治療を受ける
インプラントは、
・インプラント治療のみを専門的に行うインプラント専門の歯科医院
または、
・インプラント治療を含め、さまざまな歯科治療を総合的に行える総合歯科医院
上記のどちらかで治療を受けられます。
50代以上の方は歯周病、むし歯(歯の神経を抜き、根管治療を行った歯がある)、歯根破折、噛み合わせの乱れなど、さまざまな不安要素が存在するケースが多いです。
原則として、インプラント専門の歯科医院はインプラント治療のみを行います。歯周病治療やむし歯治療など、インプラント以外の歯科治療には対応できない場合も。
その点、さまざまな歯科治療を総合的に行える総合歯科医院であれば、インプラント治療に加え、歯周病治療やむし歯治療にも対応できます。1つのクリニックでトータルな歯科治療を受けられるのが総合歯科医院の大きなメリットです。
50代以上でインプラントをご希望の方は、総合歯科医院で治療を受けることをおすすめします。
【歯を失いしっかり噛めない方、失った歯の治療方法でお悩みの方はお気軽にご相談ください】
愛知県名古屋市中区栄にある高山歯科室では、日本口腔インプラント学会 認定専門医、および、日本歯周病学会 認定専門医の資格を持つ院長によるインプラント治療を行っています。
30年以上のインプラント治療の経験に基づき、骨造成が必要な難症例にも対応可能です。
歯周病で多くの歯を失った方・歯周病で顎の骨が溶けてガタガタになっている方への歯周外科治療(再生療法)も行っています。
歯を失いしっかり噛めない方、失った歯の治療方法でお悩みの方は当院までお気軽にご相談ください。ご予約はWEB/お電話にて承っております。
カウンセリングでは患者さんのお口のお困りごとやご希望をじっくりとお伺いし、歯科医師が丁寧にわかりやすく治療計画・費用についてご説明をさせていただきます。