総入れ歯からインプラントへ|オールオン4・6(フルマウスインプラント)の適応と限界
「総入れ歯が合わない」「もう一度しっかり噛みたい」――そうしたお悩みに対する選択肢のひとつが、オールオン4・オールオン6と呼ばれるインプラント治療です。
少ない本数のインプラントで、片顎すべての歯を固定する方法。多くの歯を失った方にとって魅力的な選択肢ですが、誰にでも適応できる治療ではありません。
本記事では、35年のインプラント臨床経験を持つ専門医が、オールオン4・6の仕組み、適応となる方、現実的な限界まで、率直にお伝えします。
この記事でわかること
- オールオン4・オールオン6とは何か
- 一般的な部分インプラントとの違い
- 適応となる方・難しい方
- 治療の流れと期間
- 費用感の目安
- 後悔しないために知っておくべきこと
1. オールオン4・オールオン6とは
オールオン4(All-on-4)とは、片顎にわずか4本のインプラントを埋入し、その上に12本分の歯(ブリッジ型の上部構造)を固定する治療方法です。
オールオン6は同様の概念で、本数を6本にしたものです。
正式には「ボーンアンカードブリッジ」と呼ばれる治療カテゴリーに属します。「オールオン4」「オールオン6」は、もともとインプラントメーカーが付けた商品名・コンセプト名です。
オールオン4の主な特徴
- 奥側のインプラントを傾斜配置することで、骨造成を避けられるケースが多くあります
- 適応:片顎すべての歯を失った方、まもなく失う見込みの方(条件あり)
- 4本のインプラント上に、12本分のブリッジ型の歯を固定
目次
- 通常の部分インプラントとの違い
- 1. 総入れ歯のような「外れる」不安がない
- 2. 噛む力が大きく回復する
- 3. 異物感が少ない
- 4. 本数が少ないため、骨造成を避けられる場合がある
- 5. 部分インプラント(全顎)より費用を抑えられる
- 1. 適応に条件がある
- 2. インプラント1本にかかる負荷が大きい
- 3. 上部構造の修理・交換が必要になることがある
- 4. 治療費は決して安くない
- 5. 即日歯が入るとは限らない
- 6. メインテナンスが極めて重要
- [該当] 適応となりやすい方
- [非該当] 適応が難しい方
- 部分的に歯が残っている方の場合
- 1. 本当に「すべて抜く」必要があるか
- 2. 長期予後の説明を受けたか
- 3. メインテナンス体制が明確か
- 4. 担当医の経験はどうか
- 5. セカンドオピニオンを受けたか
- 当院の特徴
- 大切にしていること
- Q. 即日歯が入りますか?
- Q. 痛みはありますか?
- Q. 何歳まで治療を受けられますか?
- Q. 治療後のメインテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?
- Q. 一生もちますか?
- Q. 総入れ歯からの切り替えは可能ですか?
- Q. 分割払いはできますか?
- 高山歯科室
通常の部分インプラントとの違い
| 項目 | 通常のインプラント | オールオン4・6 |
|---|---|---|
| インプラント本数 | 失った歯と同じか少なめ | 4〜6本のみ |
| 対象 | 1本〜数本の歯の欠損 | 片顎すべての歯の欠損 |
| 治療費用 | 本数に比例 | 本数を抑えるため、総額を抑えやすい |
| 治療期間 | 部位により異なる | 場合により即日仮歯装着が可能 |
| 適応 | 比較的広い | 骨の状態・全身状態に条件あり |
2. オールオン4・6の主なメリット
1. 総入れ歯のような「外れる」不安がない
しっかり固定されているため、食事や会話の際に外れる心配がありません。
2. 噛む力が大きく回復する
総入れ歯の噛む力は天然歯の20〜30%程度といわれますが、オールオン4・6では70〜90%程度まで回復することが期待できます。
3. 異物感が少ない
総入れ歯のような大きなプラスチック部分(口蓋を覆う部分など)が不要なため、装着感が大きく改善します。
4. 本数が少ないため、骨造成を避けられる場合がある
通常であれば骨造成が必要な部位を避けてインプラントを埋入する設計が可能なため、骨が痩せた方でも適応となるケースがあります。
5. 部分インプラント(全顎)より費用を抑えられる
失った歯の本数分すべてにインプラントを入れる場合と比べて、本数が少ないため、総額を抑えられる傾向があります。
3. デメリット・知っておくべき限界
メリットだけをお伝えするのは公平ではありません。デメリットも正直にお伝えします。
1. 適応に条件がある
すべての方が受けられる治療ではありません(後述)。
2. インプラント1本にかかる負荷が大きい
少ない本数で多くの歯を支えるため、1本のインプラントにかかる負担が大きくなります。インプラント周囲炎や噛み合わせのトラブルが起きた場合、影響範囲が大きくなりがちです。
3. 上部構造の修理・交換が必要になることがある
長期的に使用すると、上部構造の摩耗・破損が起き、修理や作り直しが必要になることがあります。
4. 治療費は決して安くない
「本数が少ない=安い」というわけではありません。手術の難易度・使用材料・上部構造の精度などにより、相応の費用がかかります。
5. 即日歯が入るとは限らない
「即日仮歯」は一部のケースで可能ですが、骨の状態や全身状態によっては、治癒期間を経てから歯を入れる必要があります。
6. メインテナンスが極めて重要
天然歯と異なり、インプラント周囲炎のリスクは継続的にあります。定期的なメインテナンスを怠ると、すべてのインプラントを失う可能性もあります。
4. 適応となる方・難しい方
[該当] 適応となりやすい方
- 片顎すべての歯を失っている、またはまもなく失う見込みの方
- 残っている歯がすべて重度の歯周病で、保存が難しい方
- 総入れ歯が合わず、不便を感じている方
- 全身の健康状態が外科処置に耐えられる方
- メインテナンスに長期的に通える方
[非該当] 適応が難しい方
- 重度の骨吸収により、4本のインプラントすら埋入できる骨が確保できない方(場合により骨造成併用で対応可能)
- 重度の全身疾患があり、外科処置のリスクが高い方
- 重度の歯ぎしり・食いしばりがあり、改善が困難な方
- 喫煙の継続を希望される方(インプラント周囲炎リスクが大幅に上昇)
- 長期のメインテナンスへの通院が難しい方
部分的に歯が残っている方の場合
「まだ残っている歯がいくつかあるが、すべてグラグラ」という方も多くいらっしゃいます。この場合:
- 残っている歯を抜歯すべきか、残せるか
- 残せる場合、それを活かしたほうが良いか
- 抜歯してオールオン4・6にした方が、長期的に良いか
――これらを総合的に判断する必要があります。「全部抜いてインプラント」が必ずしも最善とは限りません。
5. 治療の流れ
- ご相談(30〜60分)
現在のお悩み、ご希望、過去の治療歴を確認します - 精密検査
CT撮影、口腔内検査、全身状態の確認(必要に応じて医科との連携) - 診断・治療計画のご説明
オールオン4・6が適応か、他の選択肢(部分インプラント、入れ歯)との比較、費用・期間の詳細 - 必要な前処置
残存歯の抜歯、骨造成など - インプラント埋入手術
歯科麻酔を専門とする歯科医師による静脈内鎮静法。可能な場合は即日仮歯装着 - 治癒期間(3〜6ヶ月)
仮歯で生活しながら骨との結合を待ちます - 最終的な上部構造の装着
最終的な歯を作製・装着 - 定期メインテナンス(3〜6ヶ月ごと)
長期的な維持のために重要
6. 費用感の目安
オールオン4・6は自由診療であり、医院や使用材料によって費用は大きく異なります。
一般的な相場としては、片顎で200〜400万円程度が目安となります。両顎であればその2倍ほど。
費用に含まれる主な項目:
– インプラント本体(4〜6本)
– 上部構造(仮歯・最終的な歯)
– 手術代
– 静脈内鎮静法
– CT等の検査費用
– 必要に応じて骨造成
当院では症例ごとに個別にお見積もりをお作りし、内訳を明確にしてご説明します。 「分割払いはできるか」「医療費控除の対象になるか」といったご質問にもお答えいたします。
7. 後悔しないために|選択する前に知ってほしいこと
オールオン4・6は人生を大きく変える治療です。だからこそ、選択する前に以下を確認してください。
1. 本当に「すべて抜く」必要があるか
残せる歯がある場合、それを残しながら部分的にインプラントを補う方が良いケースもあります。
2. 長期予後の説明を受けたか
10年後、20年後にどうなる見込みか、リスクは何か――これらの説明を受けて納得できているかが大切です。
3. メインテナンス体制が明確か
治療後のメインテナンスは「やる・やらない」ではなく「やる前提」です。どのくらいの頻度で、どんな内容のメインテナンスが必要か、確認しましょう。
4. 担当医の経験はどうか
オールオン4・6は外科的にも補綴的にも高度な技術が必要です。担当医の経験、症例数、トラブル対応能力を確認しましょう。
5. セカンドオピニオンを受けたか
大きな治療だからこそ、複数の意見を聞いて納得することが大切です。
8. 高山歯科室での取り組み
当院では、オールオン4・6を含むフルマウスインプラント治療に長年取り組んでまいりました。
当院の特徴
- 35年のインプラント臨床経験
- 日本歯周病学会 認定歯周病専門医であり、残存歯の歯周治療と、抜歯後のインプラントを総合的に判断可能
- アメリカ口腔インプラント学会認定専門医(Diplomate of the American Board of Oral Implantology)も在籍
- 学会発表・論文発表多数(国内外の学会で症例発表)
- 関西圏・中部圏の15以上の歯科医院への出張手術経験
- 歯科麻酔を専門とする歯科医師による安全な静脈内鎮静法(フルマウス手術でも安心)
- CT・3Dデジタル機器を用いた精密診断
- 骨造成を併用した難症例への対応
大切にしていること
オールオン4・6は決して安価ではありません。だからこそ:
- まずは適応かどうかを正確に判断します
- 他の選択肢との比較を含めて、率直にお伝えします
- 「とにかくインプラント」とは勧めません
- 患者さんがご自身で納得して選べるよう、情報を整理してお伝えします
よくあるご質問(FAQ)
Q. 即日歯が入りますか?
A. 骨の状態や全身状態によります。即日仮歯装着が可能なケースもあれば、治癒期間を経てから歯を入れた方が良いケースもあります。 ご自身のケースについては、CT検査の後にご説明いたします。
Q. 痛みはありますか?
A. 手術中は歯科麻酔を専門とする歯科医師による管理下で静脈内鎮静法を行うため、寝ている間に終わります。専門医が血圧・脈拍・酸素飽和度などをリアルタイムで監視しますので、フルマウスのような長時間の手術でも安心して受けていただけます。術後の腫れや痛みは個人差がありますが、適切な処方とアフターケアで対応します。多くの方は1週間程度で日常生活に戻られています。
Q. 何歳まで治療を受けられますか?
A. 年齢の上限はありません。 全身の健康状態が外科処置に耐えられるかどうかが重要です。80代の方でも治療を受けられているケースはあります。逆に、年齢が若くても全身疾患によっては適応が難しいこともあります。
Q. 治療後のメインテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?
A. 当院では3〜6ヶ月ごとのメインテナンスをおすすめしています。状態によっては、より頻度が高くなることもあります。
Q. 一生もちますか?
A. 「一生」を保証することはできません。 インプラント自体は適切なメインテナンスがあれば長期使用が可能ですが、上部構造(歯の部分)は10〜15年程度で修理や交換が必要になることがあります。インプラント周囲炎などのリスクも継続的にあります。
Q. 総入れ歯からの切り替えは可能ですか?
A. 多くの場合可能です。 ただし、長期間総入れ歯を使用していた方は骨が痩せていることが多いため、CT検査で骨の状態を確認する必要があります。
Q. 分割払いはできますか?
A. 駿河銀行のデンタルローンをご利用いただけます。月々のお支払いに無理のないプランをご相談いただけます。
まずは「自分に合うか」を一緒に確認しましょう
オールオン4・6は素晴らしい治療法ですが、すべての方に最適な治療ではありません。
「自分は受けられるのか」「他の選択肢と比べてどうなのか」「費用はどのくらいか」――こうした疑問に、CT検査と丁寧なカウンセリングでお応えします。
当院では、いきなり治療を決める必要はありません。まずは現在の状態と、可能な選択肢を整理することから始めましょう。
「治療するかは決めていない」「他院で勧められたけど不安」――そうしたご相談も歓迎しております。お気軽にお声がけください。
WEB予約は24時間受付中|お電話:052-242-2213
高山歯科室
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄3-15-27 いちご栄ビル7階(松坂屋隣)
TEL: 052-242-2213
WEB予約:24時間受付
院長:高山 光平
– 日本歯周病学会 認定歯周病専門医
– 日本口腔インプラント学会 認定専門医
– 日本臨床歯周病学会 会員
– 東海インプラント・歯周病研究会 代表
– 日本先端歯科技術研究所 会員
– インプラント臨床経験35年
– 学会発表・論文発表多数(日本口腔インプラント学会誌、AAID(アメリカ口腔インプラント学会)、Academy of Osseointegration 等で症例発表)
– フルマウスインプラント・難症例骨造成の経験豊富
本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成しています。オールオン4・オールオン6はインプラントメーカーが定めた商品名・コンセプト名です。治療効果・期間・費用には個人差があります。オールオン4・6を含むインプラント治療は自由診療です。費用は症例によって大きく異なります。「絶対に成功する」「一生もつ」といった保証はできかねますので、ご了承ください。詳細は診察・カウンセリングにてご確認ください。