重度歯周病でも歯を残したい|「抜かない治療」はどこまで可能か
「もう抜くしかない」と複数の歯科医院で言われた歯でも、専門的な治療で残せる可能性が残されていることがあります。
歯周病が進行し、歯がグラグラしている、噛むと痛い、膿が出る――そうした重度の歯周病でお悩みの方に向けて、本記事では「抜かない治療の可能性と限界」を、歯周病専門医の立場から率直にお伝えします。
希望を持っていただきたい一方で、過度な期待を抱かせるつもりはありません。正確な情報をお届けすることが、患者さんが最善の選択をするための第一歩だと考えています。
この記事でわかること
- 重度歯周病とはどのような状態か
- 「抜かない治療」が現実的に可能なケース
- 残しても結果的に良くないケース
- 残すための治療オプション
- セカンドオピニオンを受ける意味
1. 重度歯周病(ステージIII・IV)とは
歯周病は、進行度によって以下のように分類されます(2017年の国際分類より)。
目次
- ステージI(初期)
- ステージII(中等度)
- ステージIII(重度)
- ステージIV(極度)
- [該当] 残せる可能性があるケース
- [非該当] 残すのが現実的でないケース
- 1. 歯周基本治療(すべての治療の前提)
- 2. 歯周外科治療
- 3. 歯周再生療法
- 4. 矯正治療との連携
- 5. 暫間固定
- 6. 噛み合わせの再構築
- 検討する項目
- 一般歯科と歯周病専門医では、判断の幅が異なることがある
- 逆もまた然り
- 患者さんの納得が、治療の前提
- 大切にしていること
- Q. 何本も歯がグラグラしていますが、すべて残せますか?
- Q. 重度の歯周病でも、痛くない治療は可能ですか?
- Q. 歯周再生療法の成功率はどのくらいですか?
- Q. 治療期間はどのくらいかかりますか?
- Q. 費用はどのくらいかかりますか?
- Q. 治療後に再発しないか心配です
- 高山歯科室
ステージI(初期)
歯ぐきの炎症と、わずかな骨吸収。自覚症状はほぼなし。
ステージII(中等度)
歯周ポケットの深さ4〜5mm。骨吸収が歯根の1/3程度まで進行。
ステージIII(重度)
歯周ポケット6mm以上。骨吸収が歯根の中央付近まで進行。歯の動揺、複雑な骨欠損が見られる。
ステージIV(極度)
ステージIIIの状態に加えて、咬合機能の喪失、歯の喪失、噛み合わせの崩壊などがある。
「抜歯」を勧められるのは、主にステージIIIの後半〜IVの段階です。
2. 「抜かない治療」が現実的に可能なケース
重度歯周病でも、以下の条件を満たせば、歯を残せる可能性があります。
[該当] 残せる可能性があるケース
- 骨欠損が「垂直性」で、歯の周囲の一部に限られている
- 歯の動揺が比較的軽度(指で押しても大きく動かない)
- 歯根が折れていない(歯根破折なし)
- 患者さんがプラークコントロールに協力的
- 喫煙していない、または禁煙の意思がある
- 全身の健康状態が外科処置に耐えられる
- 残す歯に十分な咬合価値がある(噛む機能を担える)
[非該当] 残すのが現実的でないケース
- 骨欠損が「水平性」で、すべての歯の周囲で均等に骨が大きく失われている
- 歯の動揺が極度(明らかにグラグラ動く)
- 歯根破折がある
- 重度の根尖病変を併発している
- 患者さんが治療への協力が難しい状況にある(持続的なセルフケアが困難など)
- 全身疾患により外科処置のリスクが高い
特に歯根破折は、歯周再生療法では対応できません。CT検査で歯根破折が確認された場合は、抜歯が適応となります。
3. 重度歯周病に対する治療オプション
歯を残すための治療には、以下のような選択肢があります。
1. 歯周基本治療(すべての治療の前提)
スケーリング・ルートプレーニング(歯石除去、歯根面の清掃)、ブラッシング指導、噛み合わせの調整などを行います。基本治療だけでも、軽度〜中等度であれば改善することがあります。
2. 歯周外科治療
歯ぐきを切開して、深い場所の歯石や感染した組織を直接見ながら除去します。フラップ手術と呼ばれます。
3. 歯周再生療法
エムドゲイン、リグロス、自家骨移植、GTR法などを使って、失われた歯周組織の再生を促す治療です。当院では1994年から実施しています。
4. 矯正治療との連携
歯周病で歯が動いてしまっている場合、矯正によって歯の位置を整えることで、清掃性を改善し、噛み合わせの負担を軽減できることがあります。
5. 暫間固定
動揺が大きい歯を一時的に隣接歯と連結し、安静な環境で歯周組織の回復を促します。
6. 噛み合わせの再構築
奥歯が全体的に弱っている場合、噛み合わせ全体を見直す必要があることもあります。
4. 「残す」と「抜く」の判断軸
重度歯周病の歯について「残すべきか、抜くべきか」を判断する際、当院では以下を総合的に検討します。
検討する項目
- 残した場合の長期予後(5年、10年単位で持つか)
- 残すための治療の侵襲度・期間・費用
- 抜いた場合の代替案(インプラント、ブリッジ、入れ歯)の現実性
- 全体の噛み合わせの中での、その歯の重要度
- 患者さんの希望(残したい気持ちの強さ)
- 患者さんのライフスタイル、メインテナンスへの取り組みやすさ
5. 「残す」ことだけが正解とは限らない
率直なお話をします。
「残せる」ことと「残した方が良い」ことは、必ずしも一致しません。
例えば:
- 残すために大規模な外科処置が必要で、患者さんの負担が大きい
- 残してもおそらく5年程度しか持たない
- その間、噛み合わせのバランスが取れず、他の歯に負担をかける
こうした場合、適切なタイミングで抜歯し、インプラントなどに移行する方が、長期的には患者さんにとって有益なケースもあります。
「とにかく残す」という方針も、「すぐに抜いてインプラント」という方針も、どちらも患者さんごとの状況を見ないまま決められるものではありません。
6. セカンドオピニオンとして専門医に相談する意味
「複数の歯科医院で抜歯と言われたから、もう諦めるしかない」――そう思われている方こそ、一度、歯周病専門医に相談する価値があります。
理由は以下の通りです。
一般歯科と歯周病専門医では、判断の幅が異なることがある
歯周病専門医は、歯周組織の再生療法を含めた幅広い治療オプションを持っています。一般歯科で「抜歯」と判断された歯でも、専門医が見れば「再生療法で残せる可能性がある」と判断するケースは少なくありません。
逆もまた然り
専門医が見て「残しても長持ちしない」と判断する場合は、その理由を丁寧にご説明します。抜歯すべきかどうかについての納得感を得ていただくことも、専門医の役割です。
患者さんの納得が、治療の前提
抜歯は不可逆的な処置です。「抜いてしまってから後悔した」とならないためにも、複数の意見を聞き、納得して選択することが大切です。
7. 高山歯科室での取り組み
当院では、以下の体制で重度歯周病に対応しています。
- 日本歯周病学会 認定歯周病専門医による診断・治療
- 歯周再生療法を1994年から実施(30年以上の経験)
- 日本歯周病学会会誌・日本臨床歯周病学会会誌等で複数の症例発表
- アメリカ口腔インプラント学会認定専門医(Diplomate of the American Board of Oral Implantology)も在籍
- CT・3Dデジタル機器を用いた精密診断
- 細菌検査による科学的な治療方針の決定
- 歯科麻酔を専門とする歯科医師による安全な外科処置(静脈内鎮静法)
大切にしていること
重度歯周病でご相談に来られる方は、すでに多くの不安を抱えていらっしゃいます。当院では:
- まずは現在の状態を丁寧に確認します
- 残せる可能性、残せない場合の選択肢、それぞれをお伝えします
- 治療方針はご相談しながら一緒に決めていきます
- いきなり治療を決める必要はありません
よくあるご質問(FAQ)
Q. 何本も歯がグラグラしていますが、すべて残せますか?
A. 正直に申し上げると、すべて残すのは難しいケースもあります。 ただし、検査をしないと判断できません。CT検査と歯周病検査で、それぞれの歯の状態を個別に評価する必要があります。「全部抜歯」となる前に、一度精密検査を受けることをおすすめします。
Q. 重度の歯周病でも、痛くない治療は可能ですか?
A. 外科処置については、歯科麻酔を専門とする歯科医師による管理下で静脈内鎮静法を用いることで、寝ている間に処置を終えることができます。基本治療や通常のクリーニングでも、麻酔を併用するなど、痛みに配慮した治療が可能です。
Q. 歯周再生療法の成功率はどのくらいですか?
A. 症例によって大きく異なります。 骨欠損の形態、患者さんの全身状態、喫煙の有無、術後のメインテナンスなど、多くの要因が成功率に影響します。検査後に、ご自身のケースでの予測をお伝えできます。
Q. 治療期間はどのくらいかかりますか?
A. 重度歯周病の場合、基本治療と再評価で3〜6ヶ月、外科処置とその治癒に6ヶ月〜1年、その後の維持期間を含めると、全体で1〜2年程度を見込んでいただくことが多いです。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 基本治療の多くは保険適用ですが、歯周再生療法は使用する材料によって自由診療となるものがあります。 リグロスは保険適用条件があります。エムドゲインや自家骨移植との併用は基本的に自由診療です。症例ごとに個別にお見積もりをお作りします。
Q. 治療後に再発しないか心配です
A. 重度歯周病の方は、治療後のメインテナンスがより重要になります。 3ヶ月ごとなど、より頻度の高い定期検診と、ご自宅でのセルフケアの徹底が、再発防止の鍵になります。
まずは現状を一緒に確認しましょう
「もうだめかもしれない」と諦める前に、一度、専門医の意見を聞いてみませんか。
残せるか、残せないか――その判断は、検査をしてみないと正確にはわかりません。 当院では、いきなり治療を決める必要はなく、まずは現在の状態を一緒に確認し、選択肢を整理することから始めます。
「治療するかは決めていない」「他院で言われたことが本当か確かめたい」――そうしたご相談も歓迎しております。お気軽にお声がけください。
WEB予約は24時間受付中|お電話:052-242-2213
高山歯科室
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄3-15-27 いちご栄ビル7階(松坂屋隣)
TEL: 052-242-2213
WEB予約:24時間受付
院長:高山 光平
– 日本歯周病学会 認定歯周病専門医
– 日本口腔インプラント学会 認定専門医
– 日本臨床歯周病学会 会員
– 東海インプラント・歯周病研究会 代表
– 日本先端歯科技術研究所 会員
– 歯周再生療法 臨床経験30年以上(1994年〜)
– 学会発表・論文発表多数(日本歯周病学会会誌、日本臨床歯周病学会会誌等で重度歯周炎の症例発表)
本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成しています。治療効果・期間・費用には個人差があります。歯周再生療法は症例によって自由診療となります。詳細は診察・カウンセリングにてご確認ください。「絶対に歯が残せる」「100%治る」といった保証はできかねますので、ご了承ください。