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歯周病は「短期間で菌を減らす」治療へ|当院の歯周病除菌プログラム

歯周病は「歯みがきが足りない病気」と思われがちですが、本当の原因はお口の中にすみつく 歯周病菌 です。当院の 「歯周病除菌プログラム」 では、まず 歯周病菌検査(PCR検査) で「どの菌が・どれくらいいるか」を見える化し、その結果にもとづいて、効率よく短期間で 菌を減らしていきます。

実際の症例:治療の前後で、菌がここまで減りました

下のグラフは、当院で実際に行った治療の 前後で歯周病菌の数を比較 した検査データ(複数症例)です。

行った治療の流れは、次のとおりです。

  1. 歯周病菌検査①(治療前の菌数を測定)
  2. 抗菌薬による薬剤療法(お口の中の除菌)
  3. 週1回・計4週間 の超音波器械(スプラソン)による歯周ポケット内クリーニング(デブライドメント)
  4. 歯周病菌検査②(治療後の菌数を再測定)
歯周病菌検査 治療前後の菌数の変化(総菌数・A.a・P.i・P.g・B.f=T.forsythia・T.d)/高山歯科室

歯周病菌検査(リアルタイムPCR法)では、原因となる主要な菌を 1菌種ずつ 測定します。治療前(グラフ左)から治療後(グラフ右)にかけて、各菌が大きく減少しているのが分かります。

検査項目菌の種類・主なリスク治療前後の変化(目安)
総菌数お口の中の細菌の総量高値 → 約1/10前後まで減少
P.g菌(P. gingivalis)レッドコンプレックス/歯周病の最重要原因菌高値 → 検出限界(ほぼ0)近くまで激減
T.d菌(T. denticola)レッドコンプレックス/進行に関与高値 → 検出限界近くまで激減
T.f菌(T. forsythia=B.f)レッドコンプレックス/進行に関与高値 → 大きく減少
P.i菌(P. intermedia)オレンジコンプレックス/炎症・出血に関与多くの症例で減少
A.a菌(A. actinomycetemcomitans)侵襲性歯周炎に関与高値 → 検出限界近くまで減少

特に、歯周病を進行させる”最も強い悪玉”とされる レッドコンプレックス(P.g・T.d・T.forsythia) が軒並み検出限界近くまで減少し、臨床的にも歯ぐきの炎症・出血の改善が確認できました。

※上記はPCR検査による菌数(DNAコピー数)の測定結果で、当院の複数症例の傾向です。改善の程度には個人差があります。

なぜ、確実に・効率よく・短期間で改善できるのか

この治療法には、菌をしっかり減らすための明確な理由があります。

① 深いポケットの底まで届く、極細のダイヤモンドチップ

超音波器械スプラソンの先端は、ダイヤモンド粒子のついた非常に細いチップ。これまで器具が届きにくかった 深い歯周ポケットの奥 まで入り込み、こびりついた汚れ(バイオフィルム)を的確に除去します。

② 消毒薬を流しながら洗浄できる

チップの先から 消毒薬を注水しながら クリーニングするため、機械的な清掃と薬液による消毒を同時に行えます。菌を「かき出す」だけでなく「洗い流す」ことができます。

歯周病除菌に使う超音波器械スプラソン(消毒薬を注水しながら歯周ポケットを洗浄)/高山歯科室

▲ 実際に使用する超音波器械「スプラソン」。上部ボトルの消毒薬を流しながら、極細チップで歯周ポケットの奥を洗浄します。

③ 週1回、”全部の歯”をまとめてクリーニング

一部の歯だけを少しずつ進めるのではなく、毎回すべての歯 を対象に行います。お口全体の菌を同時に減らすことで菌の逃げ場をなくし、口腔内全体の細菌数を確実に減らしていきます。

こうして菌が減ると、歯ぐきの炎症(腫れ・出血)の改善、歯周ポケットが浅くなる、さらには骨の回復がみられるケース もあります。短期間で効率よく改善をめざせるのが、歯周病除菌プログラム の大きな強みです。

歯周病は「感染症」|ピロリ菌のように”原因菌を叩く”という考え方

胃潰瘍や胃がんの原因がピロリ菌とわかり、いまでは「除菌」が広く行われています。実は歯周病も、細菌の感染が引き金となる感染症 です。なかでも P.g菌(Porphyromonas gingivalis) は、たとえ少数でもお口の中の細菌バランスを崩し、歯周病を進行させる”かなめ”の菌=キーストーン病原菌 として知られています(Hajishengallisら, 2012)。だからこそ、汚れを落とすだけでなく 「原因菌そのものを減らす」 という発想が重要になります。

歯石を取るだけでは、なぜ足りないことがあるのか

歯周ポケットの歯石を取る治療(スケーリング・ルートプレーニング=SRP)は、歯周病治療の基本でとても大切です。一方で、SRPを行うと 血液中の抗体(歯周病菌に対する免疫反応)が一時的に上昇する ことが古くから報告されています(Ebersoleら, 1985)。これは、治療の刺激によって歯周病菌やその成分が体に触れている——つまり 菌がまだ残って反応が起きている サインでもあります。

機械的に汚れを取るだけでは菌を取りきれず、残った菌が再び増えて後戻り することがあります。そこで当院は、検査で原因菌を特定 → 抗菌療法で菌を減らす → 全歯を同時にクリーニング という、”感染症としての歯周病”に正面から向き合うアプローチをとっています。

抗菌療法の効果は、研究でも示されています

  • SRPに 抗菌薬(アモキシシリン+メトロニダゾール)を併用 すると、SRP単独よりも歯周ポケットが浅くなり、歯ぐきの付着が回復することが、複数の研究をまとめた解析で示されています。特に 深いポケット(6mm以上)で効果が大きい と報告されています(Zandbergenら, 2016)。
  • お口全体を短期間でまとめて消毒する 「フルマウス除菌(ワンステージ・フルマウス・ディスインフェクション)」 も、歯周病治療の有効なアプローチとして研究・実践されています(Quirynenら, 1995)。

当院の歯周病除菌プログラムは、こうした「感染症としての歯周病」という考え方と、研究の裏づけにもとづいた治療です。

この治療の対象となる方(適応について)

歯周病除菌プログラムは、すべての方に行う治療ではありません。軽度の歯周病には適用せず、中等度〜重度の歯周病 の方を対象としています。目安として、歯周ポケットが6mm以上 ある方に効果を発揮しやすい治療です。

また、歯周病は細菌だけでなく、噛み合わせの負担・喫煙・糖尿病などの全身状態・生活習慣 といった複数の要因が重なって進む 多因子性の病気 です。そのため、歯周病菌の感染が主な原因になっていないケース では、この除菌プログラムではなく、それぞれの原因に合った治療を選択します。まずは検査で、ご自身がこの治療に適しているかどうかを見極めます。

検査・治療の費用(自由診療・税込)

本メニューは保険適用外(自由診療)です。料金は以下のとおりです。

項目料金(税込)備考
歯周病菌検査(PCR法)33,000円本体30,000円+税
デブライドメント+投薬(週1回)6,600円本体6,000円+税/4回程度
再検査(2回目のPCR検査)33,000円本体30,000円+税
総額の目安約92,400円〜お口の状態により変動します

※お口の状態により、デブライドメントの回数は前後することがあります。詳しい費用は検査結果をふまえてご案内します。

治療後に大切なこと|再発を防ぐために

除菌によって菌を大きく減らせても、それで終わりではありません。改善を長く保つために、次の点が大切です。

  • ポケットが浅く安定することが重要:治療後にポケットの改善がみられないケースや、重度に進行した歯周病では、歯周組織再生治療 などを組み合わせ、歯周ポケットが浅い状態で安定するようにしていきます。
  • ポケットが残ると後戻りのリスク:ポケットが十分に浅くならないと、そこに再び菌が入り込み、後戻り・再発 につながる可能性があります。
  • 除菌後は定期的なメインテナンスを:一度リセットしたお口の環境を保つには、定期的なメインテナンス(プロによるクリーニング) が欠かせません。

菌を減らす → 浅く安定させる → 定期的に維持する。この流れをそろえてこそ、歯周病除菌プログラムの効果が長続きします。

歯ぐきの出血・口臭が気になる方へ

歯周病は自覚症状が出にくく、気づいたときには進行していることも少なくありません。「歯ぐきから血が出る」「口臭が気になる」「歯がグラつく」——ひとつでも当てはまる方は、まず 検査で今の状態を知ること から始めてみませんか。データにもとづく歯周病治療で、あなたのお口の健康を一緒に守っていきます。

名古屋・栄で歯周病の除菌治療をお探しの方は、高山歯科室の歯周病ページ(PERIO)もあわせてご覧のうえ、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 歯周病除菌プログラムは、どのくらいの期間で終わりますか?

A. 目安は約4週間です。週1回のデブライドメント(投薬含む)を4回ほど行い、その前後で歯周病菌検査を実施します。お口の状態により回数が前後することがあります。

Q. 痛みはありますか?

A. 超音波の極細チップで歯周ポケット内を洗浄するため、強い痛みは出にくい治療です。必要に応じて配慮しながら進めますので、痛みが心配な方もご相談ください。

Q. 保険は使えますか?費用はいくらですか?

A. 本メニューは自由診療(保険適用外)です。歯周病菌検査(PCR法)が33,000円(税込)、週1回のデブライドメント+投薬が6,600円(税込)×4回程度、再検査が33,000円(税込)で、総額の目安は約92,400円(税込)〜です。

Q. 軽い歯周病でも受けられますか?

A. このプログラムは中等度〜重度(目安として歯周ポケット6mm以上)の方が対象です。軽度の場合や、細菌感染が主な原因でない場合は、別の治療をご提案します。

Q. 治療が終われば再発しませんか?

A. 菌を減らした後も、歯周ポケットが浅く安定していないと後戻り・再発のリスクがあります。定期的なメインテナンス(プロによるクリーニング)で良い状態を保つことが大切です。

参考文献

  1. Hajishengallis G, Darveau RP, Curtis MA. The keystone-pathogen hypothesis. Nature Reviews Microbiology. 2012;10(10):717–725. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22941505/
  2. Ebersole JL, Taubman MA, Smith DJ, Haffajee AD. Effect of subgingival scaling on systemic antibody responses to oral microorganisms. Infection and Immunity. 1985;48(2):534–539. https://journals.asm.org/doi/10.1128/iai.48.2.534-539.1985
  3. Zandbergen D, Slot DE, Niederman R, Van der Weijden FA. The concomitant administration of systemic amoxicillin and metronidazole compared to scaling and root planing alone in treating periodontitis: a systematic review. BMC Oral Health. 2016;16:27. https://link.springer.com/article/10.1186/s12903-015-0123-6
  4. Quirynen M, Bollen CM, Vandekerckhove BN, Dekeyser C, Papaioannou W, Eyssen H. Full- vs. partial-mouth disinfection in the treatment of periodontal infections: short-term clinical and microbiological observations. Journal of Dental Research. 1995;74(8):1459–1467. https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/00220345950740080501
  5. Sgolastra F, Petrucci A, Gatto R, Monaco A. Effectiveness of systemic amoxicillin/metronidazole as adjunctive therapy to scaling and root planing in the treatment of chronic periodontitis: a systematic review and meta-analysis. Journal of Periodontology. 2012. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22220767/

※本記事は当院での実際の治療例をご紹介したものです。治療の効果・期間・改善の程度には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。詳しくは診察のうえでご相談ください。

監修:名古屋市中区栄 高山歯科室 院長 高山光平(歯科医師)