他院で抜歯を勧められた歯を残せるか|歯周再生療法という選択肢
「もう抜くしかない」と言われた歯でも、歯周再生療法によって残せる可能性があります。
歯周病で歯がグラグラする、他院で「抜歯してインプラントに」と勧められた――そうしたご相談を、当院では数多くお受けしてきました。
本記事では、1994年から歯周再生療法に取り組んできた歯周病専門医が、「抜かずに残す」治療の可能性と、その限界について、率直にお伝えします。
この記事でわかること
- 歯周病で歯を抜くことになる仕組み
- 歯周再生療法とはどんな治療か
- 「抜歯ではなく再生」が選択肢になるケース・ならないケース
- セカンドオピニオンを受ける意味
- 高山歯科室で大切にしている考え方
1. なぜ歯周病で歯を抜くことになるのか
歯は、顎の骨に植わっています。歯周病は、歯と骨の間にある歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨など)を破壊しながら進行します。
進行すると以下のような状態になります。
- 歯を支える骨(歯槽骨)が溶けて減少する
- 歯がグラグラと動揺する
- 噛むと痛い、噛めない
- 膿が出る、口臭が強くなる
この状態が重度になると、多くの歯科医院では「抜歯」を選択肢として提示します。それは、抜歯が現在のスタンダードな対応として確立されているためです。
2. 歯周再生療法とは
歯周再生療法とは、歯周病で失われた歯周組織(骨・歯根膜・歯肉)を、特殊な材料を使って再生させる治療法です。
抜歯せずに、歯を支える組織そのものを取り戻すことを目指します。
目次
主な治療材料・方法
エムドゲイン®(Emdogain)
ブタの歯胚から抽出したタンパク質(エナメルマトリックスデリバティブ)を使った治療。歯が発生する過程を再現することで、歯周組織の再生を促します。世界的に長く使われてきた、エビデンスのある材料です。
リグロス®
成長因子(bFGF)を使った歯周組織再生剤です。日本で開発され、2016年に保険適用となりました(条件を満たす場合)。
自家骨移植
患者さん自身の骨を採取して、骨が失われた部位に移植する方法です。エムドゲイン等と併用することで、より高い再生効果が期待できる症例があります。
GTR法(組織再生誘導法)
人工膜(メンブレン)で骨が失われた部位を覆い、骨や歯根膜が再生するスペースを確保する方法です。
これらは、症例によって単独または組み合わせて選択します。
3. 「抜歯ではなく再生」が選択肢になるケース
歯周再生療法は万能ではありません。適応となるケースと、難しいケースを正直にお伝えします。
適応となりやすいケース
- 骨欠損の形が「垂直性」で、ある程度限局している
- 歯の動揺がそれほど大きくない
- 患者さんの全身状態が良好
- 喫煙習慣がない、または改善の意思がある
- 口腔衛生(プラークコントロール)が良好
難しいケース
- 骨欠損が広範囲かつ「水平性」で、すべての歯の周囲で骨が均等に減っている
- 歯の動揺が極めて大きい(指で押すと大きく動く)
- 歯根が割れている(歯根破折)
- 重度の全身疾患により外科処置のリスクが高い
- 喫煙が継続している
特に歯根破折は再生療法の対象外であり、抜歯が適応となります。
4. 「とりあえずセカンドオピニオン」という選択
「抜歯」と言われた歯について、別の専門医の意見を聞くことには意味があります。
理由は主に2つです。
1. 治療の選択肢は、医師によって幅がある
歯周病・インプラント治療は、医師の経験や得意分野によって提示される選択肢が変わります。一般歯科では抜歯を勧められても、歯周病専門医が見れば「残せる可能性がある」と判断するケースは少なくありません。
逆もあります。再生療法を行ったところで長持ちしないと判断される場合は、専門医が抜歯を勧めることもあります。
2. 患者さんご自身が納得して選ぶことが大切
抜歯は不可逆的な処置です。「抜いてから後悔した」とならないためにも、複数の意見を聞き、ご自身が納得できる選択をすることが大切です。
5. 治療の流れ
- ご相談(30〜60分)
現在の症状、これまでの治療歴をお聞きします。不安や疑問を率直にお話しください - 精密検査
歯周病検査(プロービング、動揺度、出血など)、レントゲン・CT撮影、必要に応じて細菌検査 - 診断・治療計画のご説明
抜かずに残せる可能性があるか、残す場合の治療内容と費用、残さない場合の選択肢(インプラント等) - 基本的な歯周治療
プラークコントロール、スケーリング等 - 歯周再生療法(必要な場合の外科処置)
エムドゲイン、リグロス、GTR法など - 治癒期間(6ヶ月〜1年)
歯周組織が再生するのを待ちます - 定期メインテナンス(長期的な維持)
再発防止のために重要
6. 高山歯科室で大切にしていること
当院では、「とにかく残す」も「すぐ抜く」もせず、患者さんごとに最善の方法を一緒に考えることを大切にしています。
その上で、当院の特徴として:
- 歯周再生療法を1994年から30年以上実施してきた経験
- 日本歯周病学会 認定歯周病専門医による診断
- 学会誌に複数の歯周再生療法・歯周外科症例論文を発表
- 細菌検査などのデータに基づく治療方針の決定
- 歯科麻酔を専門とする歯科医師による安全な外科処置(外科を伴う再生療法でも、希望に応じて静脈内鎮静法を使用可能)
「他院で抜歯を勧められたけど納得できない」「歯を残せる可能性があるなら聞いてみたい」――そうしたご相談を歓迎しています。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 重度の歯周病でも本当に歯を残せますか?
A. 症例によります。 すべてのケースで残せるわけではありませんが、CT検査と歯周病検査で骨の状態を正確に把握すれば、残せる可能性が見えてくることは少なくありません。まずは検査でご自身の状態を知ることから始めましょう。
Q. エムドゲインは安全ですか?
A. エムドゲインは1990年代から世界中で使われており、長年の臨床実績がある材料です。アレルギーのリスクは極めて低いとされていますが、ご心配な点は事前にご相談ください。
Q. 手術は痛いですか?怖いです
A. 局所麻酔下で行いますので、手術中の痛みはほとんどありません。さらに不安が強い方には、歯科麻酔を専門とする歯科医師による管理下で静脈内鎮静法を使用することも可能です。 寝ているような状態で手術が終わるため、「気づいたら終わっていた」と仰る方も多くいらっしゃいます。お気軽にご相談ください。
Q. 歯周再生療法の費用はどのくらいですか?
A. 部位の範囲、使用する材料によって費用は変わります。リグロスは条件を満たす場合は保険適用となりますが、エムドゲインや自家骨移植との併用は基本的に自由診療となります。具体的な費用は症例ごとにお見積もりをお作りいたします。
Q. 治療期間はどのくらいですか?
A. 再生療法の手術自体は1回ですが、骨や歯周組織の再生には6ヶ月〜1年が必要です。その後も継続的なメインテナンスが大切です。
Q. 歯周病が再発することはありませんか?
A. 残念ながら、治療後にプラークコントロールが不十分だったり、定期的なメインテナンスを怠ったりすると再発のリスクがあります。治療と同じくらい、その後の維持が大切です。 当院では定期的なメインテナンスプログラムをご用意しています。
Q. インプラントとどちらが良いですか?
A. 「ご自身の歯を残せるなら、それが第一選択肢」というのが当院の基本的な考え方です。ただし、残しても長持ちしないと判断される歯を無理に残すより、適切なタイミングで抜歯してインプラントに移行する方が結果的に良いケースもあります。患者さんごとの状況によって判断します。
まずは「相談だけ」でも構いません
抜歯か、再生か――この判断は、患者さんの人生に関わる大切な選択です。
当院では、いきなり治療方針を決める必要はありません。まずは現在の状態を一緒に確認し、可能性を整理することから始めましょう。
「他院での診断内容を見てほしい」「治療するかは決めていないけど話を聞きたい」――そうしたご相談も歓迎しております。
WEB予約は24時間受付中|お電話:052-242-2213
高山歯科室
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄3-15-27 いちご栄ビル7階(松坂屋隣)
TEL: 052-242-2213
WEB予約:24時間受付
院長:高山 光平
– 日本歯周病学会 認定歯周病専門医
– 日本口腔インプラント学会 認定専門医
– 日本臨床歯周病学会 会員
– 東海インプラント・歯周病研究会 代表
– 日本先端歯科技術研究所 会員
– 歯周再生療法を1994年から実施(30年以上の臨床経験)
– 学会発表・論文発表多数(日本歯周病学会会誌、日本臨床歯周病学会会誌等で歯周再生療法の症例発表)
本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成しています。治療効果・期間・費用には個人差があります。歯周再生療法は症例によって自由診療となります。リグロスは保険適用条件があります。詳細は診察・カウンセリングにてご確認ください。